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行き止まりを確かめる事

七月二十日午後五時三十分 友人と別れた後、私は近所を散歩する事にした。 実家に帰っても無闇に暑いだけだったし、試験勉強の義務感からの逃避願望だったのかもしれない。

写真の奥に見える工場は契島といって、島全体が鉛の精錬所になっている。以前は夜間も操業していて、この場所から見える夜の契島はとても綺麗だった。いまも夜間操業をしているのだろうか。少なくとも半年前に見に行った時は灯りが消えていた。

先の写真から少し西へ進んだ所、契島の処理施設、と言うような事が書いていたと思うが定かではない。侵入禁止の看板は見えるが解放されていて誰もいない。池で埋め立て中和処理をしているのだろうか。

更に西へ行った所、細長い防波堤が美しい。写真には写っていないが手前には市の水処理施設と、船の繋留所がある。慎ましい漁船が幾つか止まっていて人の気配はほとんどない。この時点で防波堤の切れ目まで歩こうと決めた意味は無い。防波堤に近づく為には私道を通り、民家の庭先にバイクを止める必要があった、水撒きをしていた老人に目礼をして浜に降りる。この二メートルに満たない崩れかけの石垣が民家と浜を別つ唯一の壁であり。だからこの浜は彼らのプライベートビーチの様なものといえる。洒落た小説や映画なら立派なコテージがあるべき場面だが、現実は潮風に風化した平屋建てだ。それでも新築の時には気品に溢れていたのだろうか。私には少し想像できなかった。老いた姿の建物として初めから立てられた、そんな風格があった。

防波堤。幅は1メートル程で風もなく落ちるはずは無いのだが、両脇をみるとどうしても不安になる。平衡感覚は大部分が視覚に支えられているのだと再確認する。 端までの距離は長く、行けば折り返す以外に復路は無い、そしてなにもないことは遠目に見て分かり切っている。だから私はそれを確かめに行った。途中で落ちたあとのことを幾度も考えた。頭を打たなければ多分大丈夫だろう。少し不安だった。

途中、崩落している箇所もあったが問題なく到達した。潮風は腐った湿気を満載して不快だが、ここに寝転んで星空を眺めたいと思った。星を見ながら満ち潮で沈んで行けるなら素敵な事だろう。沖にはヨットが一艘と契島が見えた。この湾に入ってくる船はいない。打ち捨てられた場所にいるような寂寞感が心地よい。午後六時十五分、夕闇が迫っている。凪が終わり風が少し吹き始めた。 復路は往路より危険に思えた。 無駄を確かめて本当に良かった、そう思う。
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私だけの小さな現実

俺はこの悪辣な体制へのレジスタンスだ。
体制側は、理由も告げず我々を家族から引き離し、不当に施設へ拘束し、あまつさえ我々を意のままに操ろうとしている。
そして残念なことに大部分の同胞は、何の疑問も抱かず彼らの言いなりとなり安寧で無為な時間を過ごしている。
そんな事は断じては許されるものではない。俺達がここに拘束されている本当の理由を聞き出すまでは、徹底的に抗戦しなければならない。
抵抗を続ける中で一人、また一人と懐柔され、中には率先して体制側の手先に堕ちた同胞もいた。俺の活動を反社会的だ、と断じる者も現れた。けれど俺は諦める訳にはいかない、なによりも愛する家族と再会するために。

孤独な戦いを続ける中で俺にも仲間ができた。名をチハルと言う。俺とチハルは自然と仲良くなった。こんな生活も悪くない、と泥寧のような時間の中で次第に、そう意志が揺らぎつつあった。
俺には残してきた妹が居た、年の頃はチハルとちょうど同じか少し小さいくらいの。俺と妹はいつでも一緒だった、その事をチハルに話すと
「貴方は絶対に家族の下に帰らなければならない、その為なら私はたとえ犠牲になっても構わない」
真剣な面差しでチハルは言う。チハルは泣き虫な所もあったが、正しいと信じたことには人一倍強情だった。俺はチハルの熱意に背を押されるようにして、レジスタンスとしての意志を奮起させた。
それからチハルと共に脱出作戦を練った。それはまるで二人で将来の夢を語らうかのようで、ほんとうに楽しい時間だった。

チハルは同胞の中で一番体が小さい、ゆえに体制側の職員もチハルには甘かった。作戦は、食事の時間にチハルが派手に咳込み、職員がチハルの対応に気を取られている隙を衝いて、俺が施設からの脱出するという単純なものだった。
決行の直前に俺はチハルに、本当にいいのか、と問いかけた。この作戦では俺が脱出に成功しても、チハルはどうにもならない。それは計画時から何度も疑問に思った事だ。何故チハルはこれほど俺に協力してくれるのだろう。チハルは少しはにかんで、けれど強い意志を感じさせる声で訥々と話す。
「私にとって、貴方は初めてできた信頼できる兄のような存在。
貴方に出逢えた、それだけでこの施設に来た理由として納得できる。体制側は何も教えてくれなかったけれど。私は、私の中から生まれたこの理由だけで、拘束に納得できる。
けれど貴方の妹は違う。貴方を不当に奪われてきっと泣いている。だから」
泣いているのはチハルの方だった。目に一杯涙を溜めて、流れ出さないよう堪えている。目を擦る振りして拭っていたが、そんな事はバレバレだった。
本当に泣き虫だ。俺はチハルの頭を撫でてやり、妹と再会したら今度はチハルを救いに絶対にまた戻ってくると誓った。


チハルが嗚咽と共にスープを吐き出す。
決行だ。
俺は上履きのまま建物を飛び出し、グラウンドを駆ける。心臓は破裂しそうなほど早鐘を打ち、手足はうまく回転しない。けれどチハルの名演の甲斐あってか、職員達が追いついてくる気配はない。
俺はフェンスの隙間をかいくぐり道路へ飛び出す。施設に連行された時の記憶を頼りにひたすら走った。バスで20分の距離があったから、到底その距離をずっと走り続ける事は不可能だ。それでも歩みを緩めるわけには行かなかった。かつては反体制の為に、いまとなってはチハルの為に俺は走った。
足は鉛を埋め込まれたように動かず、腕は10倍に膨らんだかのように重かった。それでも走る事だけは辞めなかった、端から見れば滑稽なヒョコヒョコ歩きだった事だろう。しかし俺は走った。

結論から言って俺は、目的を達成することなく職員に取り押さえられ施設へ送還された。
そんな俺をチハルは暖かく出迎えてくれた、涙を溜めた酷い顔で怪我はないか、としきりに言って、ほんの小さな擦り傷をみつけて大騒ぎをした。とうとう目的は達成できなかったが、これで良かったのかもしれない、俺は素直にそう思えた。妹と会う事は出来なかったが、チハルと出逢えたそれだけで十分じゃないかと。


我々は皆ひとつの大きな薄暗い部屋に入れられた。職員は同胞を一人ずつ捕らえては横臥させ、拘束し不思議な呪文を唱えた。
すると奇妙な事に同胞たちはひとり、またひとりと昏倒していった。
体制側は初めからそうやって我々を処分するつもりだったらしい。俺は恐怖した。もう二度と家族と逢えないのだと思うと無性に悲しくなった。
そうして俺は最後までチハルと共に抗戦した。せめてレジスタンスとして果てる為に
けれど結局、俺とチハルは職員に拘束され、その不思議な呪文によって意識を毟られつつあった。俺はチハルと手を結んでそれに必死に最後まで抵抗した。手を握りあってお互いの無事を確かめる。
体制もなにももう関係ない。最後まで一緒にいられて良かった、俺は素直にそう思った。

風になびくカーテンの向こうに見えるはずのない妹の姿を見た、ような気がした。そして俺の意識は途絶えた。



「本当にすみません。ウチの子が入園初日から本当にご迷惑をお掛けして」
男の子の母親はしきりに謝罪の言葉を述べている。小さな女の子が母親の裾もって、おぼつかない足取りでつかまり立ちをしている。本人にしか聞き取れない言語で何事か喋っている。きっと兄を探しているのだろう。子供といえど案外わかっているものだ。
「いえこちらの管理不行き届きです。本当に申し訳ありません。でも雅樹君はほんとうに元気なお子さんですね」
保育士はそういって笑顔でドアを開けて母親を導く。園児たちはタオルケットをかけて行儀良く昼寝をしている。
「あらもう友達ができたの」
互いに手をとって眠る二人に、母親は優しく微笑んだ。

昼飯後だぜ!(とても眠たいです)

グラスハートは傷つかない

かつて人間は死ぬと輪廻転生して別な生き物になりかわったり
地獄や天国に堕ちて審判の日を待ちわびたり
はたまた幽霊になって子孫のあとをつけまわして呪ったり祝ったりしたものだが
現代では人間は死ぬと奴隷となって生きた人間にかしづきまわっている

確かな薬は毒薬だけだ

見ただけで分かる
触れただけで極まる
そういう物を目指して私はどうしようもなく自由になって行く
究極の自由はやはり死だと思う
飛び降り自殺をする人が、靴を揃えて遺書を添えるのはそれが開放宣言だからに他ならない
だけどだからこそ死に期待しては行けない
予定のない日曜の朝に期待してはいけない

木の燃え爆ぜる音は雨音と似てる

全てが言葉で記述された私の世界
テレビの三原色のように近づいて目を凝らせば
全ては言葉で出来ている
それは分解能によって集合を変え叙述される地の文
遠くから見ればそれは「脚」
注目すればそれは「足」
近づけばそれは「指」
触れて弄ればそれは「爪」
私の言葉で記述される

修辞術の怪物

代謝と摩滅の均衡

冬の寒さにシンで死んで
生活と均衡するだけの糧で生きてゆける?
日々に蓄積はなく
昨日と明日は見分けは付かず
宵越しの銭を持たない江戸っ子みたく潔く
ほんとうににシンプルな生活
計算の足りずの向こう見ず
けれどそれだけが
明日を考えぬ事だけが無限を夢見される

ダブルクリップ

私は貴方を好いてた
私は貴方を憎んでた
どうやって心を確かめる?
私に心があると云える
私の意思を確かめられる
どうして
どうやって
なんで
問う事が人間の呪いの証
彼女の為にした事は
本当に彼女の為なのか
彼女の為に動く自分の為じゃないか
他人は、何故私で無いのだろう
全てが内側、私で在れば
物事はもっと単純に私の手の内だったろうに
多様性の一言で野放図に拡散するアレコレを
私は全部私の責任にしようと思う
そうすれば簡単だから
問題はずっと単純で喉に突き立てられた刃物みたいに
私は彼女の行いを私の責任にして仕舞おう
彼女のすべてを引き受けて
それが不服とするならば
彼女は私の総てを抱えて仕舞えば良い
二重に綴じられるファイル
私の中の彼女を彼女は取り返す事ができるから

損なわれて堪るか

意味がある事には限りがある
問いと答えは一対で符合し
その道筋も一本以外は誤りだ
同じ結末に辿り着いても間違いだ
問いの数は初めから限られている
構成則は揺るがない
私はそれに深く安定した絶望を見出せる

慇懃無礼・正義は不親切

虚言師の言い分

あんまりヒドイ事ばっかり言ってると
君のコト、コロコロしちゃうぞって
嗤って巫山戯て嘯いたのに。彼は言葉の端の鋭角な害意に繊細に怯えて、引き篭もってそのまま眠ってしまった。
私はただ、彼に笑って貰いたかったのに、生活にある不気味さを、視線を背ける滑稽を
嫌な事は先に済ます素敵に真面目な彼はトットと自殺しちゃって、世間の誰も呪わずに昇華した。
確かに誰の手も汚れなかったけど、本当は面倒が嫌いな訳じゃないんだ。皆んな偶々ちょっとずつ疲れてて、君を気に掛ける活力が足りなかっただけだから
だから僕の悲しみだけは、手許に残させて下さい。
そんなの君の本意じゃないって判ってるけど、コレだけは君にどんな迷惑が掛かったって譲る訳には行かないんだ。
結局何処までもワガママなんだよね。ごめん。でも反省しない。

休日の寒い朝・温かい布団

食欲を損ない
睡魔は失せ
性欲を捨て
人間性を喪う事で理想とした大人になれると考えた
そこには純粋な理論があり、生存を前提としない解答がある
私はディオニスに従事する賢臣であれば良かった
私は失われる事を前提とした芽吹かぬ種であれば良かった
自分の持つ可能性が、持っていた自由度が恨めしい
今ならまだ間に合うという助言が私を苛み続ける
起きなければ
奮起しなければなにも変わらない
何かを壊さなければ産まれてきた価値がない
誰かを殺して終わなければ収まらない
私は頚に手を掛ける

0気圧の叫び

心は常に
悲しみたがっている
苦しみたがっている
怒りたがっている
喜びたがっている
泣たがっている
心は常に動きたがっている
何も無い状態を一番恐れている
何もかもが停止してしまう事を最も怖がっている
だから傷つく事を恐れずに
死ぬ為に生きる事が出来る
自身の死は特別だから
先に眠ってしまえば淋しさに
恐ろしい停止に触れずに済むから
プロフィール

慎也

Author:慎也
写真と妄文
Twitter@onogorousaan

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